ご挨拶

学会長 山縣 然太朗

第81回日本公衆衛生学会総会
学会長 山縣然太朗
山梨大学大学院総合研究部
医学域社会医学講座教授
山梨大学大学院総合研究部附属
出生コホート研究センター長

第81回日本公衆衛生学会総会を2022年10月7日(金)から9日(日)に山梨県甲府市で開催するにあたり、皆様にご挨拶を申し上げます。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの健康危機の中、住民の命を守るために果敢に立ち向かい、日々ご尽力された皆さまに心から敬意を表します。COVID-19対策のみならず、自粛生活や経済の停滞による自殺の増加やコロナフレイル、受診控えによる疾患の増悪などのCountervailing Risk(対抗リスク)の対策に、住民と一体となって多職種連携で地道に取り組まれていることに、公衆衛生活動の本質を見る思いです。

本総会のテーマは「公衆衛生イノベーション-原点確認、変革推進-」です。

モバイル情報通信機器が生活必需品となり、人工知能(AI)が社会システムに組み込まれる中、健康情報の利活用はこれからの健康政策の基盤です。また、生命科学の急速な進歩により、ゲノム科学は創薬、がんゲノム医療、ワクチン開発を実現し、脳科学や再生医療は革新的な医療の未来を描いています。これらの科学技術イノベーションに公衆衛生はどのように向き合うのかが問われています。COVID-19禍で顕著化した健康政策の課題の解決のために、新たな視点、新たな手法を用いた公衆衛生活動の変革が必要です。そのためにも、あらためて公衆衛生活動の原点に立ち返って本質を見失うことなく、公衆衛生専門家の矜持をもって、「公衆衛生イノベーション」に取り組む時がきたのではないでしょうか。

コロナ禍で開催された京都、東京の総会で培った新たな学会のあり方を学び、オンラインとリアルのそれぞれの利点を生かしたハイブリッド形式で開催いたします。現地に参集することで実現する特別企画を用意いたします。

本総会の80年を超える歴史の中で、山梨県での開催は初めてです。山梨県の公衆衛生関係者のオールやまなしで、会員の皆様をあたたかくお迎えし、公衆衛生の未来を活発に議論できる場を提供いたします。あわせて、日本一の富士山、幻の魚が棲む富士五湖、日本遺産の昇仙峡、豊かな森と眺望に恵まれた八ヶ岳南麓清里、日本屈指の名湯を巡り、世界に誇る甲州ワイン、収穫量日本一のぶどう、信玄が愛したほうとうを召し上がって、山梨県の魅力を堪能していただきたいと思います。